暖かく、紅く輝く秋の月が、オレは今でも好きだ。 幼い頃、自分の背丈より高いススキの海をかきわけて、一番近くで月を見る事が出来る場所まで、よく3人で行ったものだ。 ススキの海にポツンと立つ古木に上って見る月は、視界いっぱいに広がり、両側に座る見慣れた顔を優しく照らす。 秋の風がススキを揺らし、そのざわめきとコオロギ達の奏でる音色がなんとも心地良くて、古木の枝で眠りこける時もたまにあった。オレはほとんど無かったけど。 「おまえとライカは月よりも酒の方が重要なんだろ。酔っ払って枝から落ちて、ススキの海で溺れてても助けてやらないからな」 「あ、なんだよ、そんな事まだ覚えてやがったのか?」 「忘れるワケないだろ。最高に面白い思い出だ。…オレの好きな酒、用意しておいてくれよ」 「はいはい。んじゃ、エンギシにライカの貸し出しでもお願いしてくるか」 「頑張って言いくるめてこいよ」 今でも瞼の裏の、大好きなふたりを照らしている。 |
雷火の小説を色々なサイトで読む度に、自分も書いてみたいなぁと密かに思っていたのです。色々なサイトと言っても3軒くらいしか知らないですけど…(泣) 何を書こうかと考えていた時、薄暗くなってきた空にほのかに紅く輝く月を見たのを思い出して、それを題材に書いてみよう!という事になりました。主人公はウツキです。 きちんと小説を書いたのって今回が初めてなので、かなり緊張…。 でも、これに懲りずに、また書いてみたいです。 |