2015年06月13日 00:06 光造形法(ノーベル1.0)による、アインクラッドのようなモノの試作
今年の3月に、XYZプリンティングのノーベル1.0を導入しましたが、即座に発生したトラブルにより新品と交換となりました。
そして、初代に変わり役目に就いた、二代目ノーベル1.0により、アインクラッドのようなモノの試作を開始しました。
先ず、以下のアインクラッドの本体部のデータを、光造形用に調整する作業をしました。
アインクラッド風ライトスタンド
その後、XYZwareNobel(スライサー)で、3Dプリント用のデータに変換しました。
オブジェクトを宙に浮かせて出力したかったのですが、座標を調整してサポートの生成を実行すると、
オブジェクトの位置が原点に戻ってしまい、宙に浮かせて出力するが叶わなかったため、
サポートを自力で精製する事により、ソレを回避しての出力を実現しました。
スライサーとモデリングソフト(MAYA)を行き交い、出力の期待値が高そうな状態となったので、
本体のタケノコのような部分を試しに出力しました。
全高98mmで、出力に要した時間は、約7時間(ピッチ0.1-最速かつ最も粗い解像度)となります。
レジン充填時に、安価なエアコンプレッサーと同等の音が響き、層毎の出力の合間に強い機械音が発生します。
対象により、感じ方には格差がありますが、私は五月蠅いと率直に思います。
されど、こういうものだから仕方ないと言われれば、耐えられる次元にあるとも感じます。
匂いも、似たような状態であります。
出力後、アルコールで洗浄を行い、UVランプで再硬化させました。
複数のトラブルに遭遇し、それらの解決を図りながら、他のパーツの出力を進めました。
自力のサポートで宙に浮かせ、自動で精製されるサポートを最大で追加しても、
出力中のオブジェがサポートから剥離し、レジンタンクに落下したりしました。
他には、宙に浮かせた状態では、平面が綺麗に再現出来ない問題に遭遇しました。
それらは、サポートを自力で精製(特有の配置)する事で回避しました。
先程の写真にはなかった部位の突起が、適正に再現出来ぬだけでなく、
上と下を繋ぐための構造が災いし、ソノモノの出力に失敗しましたが、
打開策の検討を重ねた結果、思い通りに出力するが叶いました。
これまでの蓄積により、本体周囲の突起はスムーズに精製出来ました。
組立ててみましたが、熱溶解積層法とは一味違う仕上がりに、エキゾチックな感覚を覚えました。
全高は16cm程度です。
出力に要した時間は、約17時間(ピッチ0.1-最速かつ最も粗い解像度)となります。
失敗を含めると、約22時間であります。
後処理を含めると、約24時間が必要となりました。
アインクラッドのようなモノに続いて、以下の出力を試みる事としました。
キリトとアスナの家風アイテムボックス
モデルデータの修正を行い、最初の出力を試みましたが、本体がラフト層から剥離しました。
構造を大幅に調整し、再度出力を試みましたが、所々破綻している状態となり中止しました。
以下の写真は、二度目の失敗となります。
ハードウエアの仕様上、ある程度進行した段階でなければ、失敗の察知が困難なのは不便ですね。
本体のキャリブレーション(大掛かりな清掃を含む)をやり直すも、状況が改善されぬため、
モデルデータに複数のアプローチを加えるも、思うような結果は得られませんでした。
構造物の自重と出力のメカニズムにより、この形状である限りは回避が困難と推察します。
熱溶解積層法で、簡易な台座を出力し、本体をLEDで発光させました。
発光により、全体のディティールが鮮明となります。
造形精度は、熱溶解積層法に対し、圧倒的に上と感じます。
その分、手間も多くなります。
上を発光させた後に、ログハウスの出力が叶わぬ原因・要因を確認・証明するため、
独特な調整を加えたモデルデータで検証を行いましたが、予想した結果の通りとなりました。
これにより、ノーベル1.0との向き合い方を、定める(絞る)事が出来ました。
相性が良い、合致率が高いモデルデータであれば、これほどのトラブルに見舞われずに、
ノーベル1.0を扱えると察しますが、イザと言う時の対処法が纏まり、一連の経験は良き糧となりました。
本体周囲の突起を、存在感を誇張し出力しました。
所有する、熱溶解積層法の3Dプリンタ(MF-1050)において、
同じスケールで突起を出力すると、かなり悲惨な状態となります。
本来の目的・目標・理由からすれば、この恩恵だけでも導入した、意味・価値は十二分と存じます。
今回の経緯・経過により、アインクラッド風ライトスタンドのモデルデータ全体を見直せました。
それに、新たな発想が得られ、熱溶解積層法での応用が望めそうです。
よりノーベル1.0を、効率的・効果的に扱えるよう、精進して参ります。