2011年03月28日 00:23

危機続く福島第一原発/「原子炉構造に欠陥あり」/元設計者が米メディアに告白


☆ 原発事故、収束見通せず

2011年 3月 28日 6:36

 東京電力 福島第1原発の事故で、同社の武藤栄副社長(原子力担当)は27日午後、収束までの見通しに関して「残念ながら何カ月、何年と言えるまで具体的な方策、スケジュールは詰まっていない」と述べた。その上で「全体としては進展が見えていると思う。努力を積み重ねたい」として、事故対応への理解を求めた。

 1~3号機の原子炉内にある燃料棒の状態については、「観測できるデータが非常に限られ、推測するのは難しい」と発言。露出した燃料棒がどれだけ損傷しているか、把握できていないことを明らかにした。

[時事通信社]

※ 意見

以下の記事を拝見すると、何が起きるかわからない危機的な状況です。

莫大なミスを犯した方々が上では、現場の方々が配です;;

世界各国へ助けを求めなければ、事態の改善は遠い未来でしょうね。

☆ 危機続く福島第一原発/「原子炉構造に欠陥あり」/元設計者が米メディアに告白

☆ 原発元設計者が告白「原子炉構造に欠陥あり」

 福島第一原子力発電所の原子炉には重大な欠陥があった─爆発事故を起こした原子炉の設計にかかわった日米の元技術者がそろって証言を始めた。経済性を優先するあまりに小型に造ったため、冷却システムなどに余裕がなく、地震や大規模停電になると爆発しやすいという。今回の地震では、まさにその心配が現実になった可能性が高い。

 現地時間で3月15日、米CNNが、米国を代表する原子炉メーカーであるゼネラル・エレクトリック(GE)の元エンジニア、デール・ブライデンボー氏のインタビューを放送した。白髪に白いひげをたくわえたブライデンボー氏は悲痛な表情でこう語った。

 「福島原発の事故は私たちが想定したシナリオよりもはるかに悪い。このままだと、何千もの命が失われる可能性がある。それが怖くてたまらない」

 遠い米国で、なぜ米国人に福島のことがわかるのか? 実は、ブライデンボー氏は福島第一原発の1~5号機で使われているマークⅠ型原子炉の原設計をした人物だった。

 今回、最初に水素爆発を起こした1号機は日本製ではない。1号機の建造が始まった1960年代、日本はまだ自力で商業用原子炉を造っていなかった。このためGEが造った。このあと2号機はGEと東芝が共同で建設し、3、4号機になってようやく東芝や日立製作所が主体で造った。炉心損傷を起こしている1~3号機はいずれも、GEの設計を基にしたものなのだ。

 そしてブライデンボー氏は在職中から、このマークⅠの安全性に疑念を抱き、75年に同僚2人とともにGEを退職すると、米原子力規制委員会と共同戦線を張ってマークⅠの製造中止を訴えてきた。この3人は、いまでは「GEスリー」と呼ばれている。

 前出の番組でブライデンボー氏はこう語っている。

 「マークIは大規模事故に耐えうるようには設計されていません。冷却システムがギリギリの容量で設計されているため、電力供給が途絶えて冷却システムが止まると、爆発を起こす危険性がある。使用済み核燃料の貯蔵プールも最新型のように自然に冷やされるタイプではないため、電気が切れるとすぐに温度が上がってしまう」

 福島でも地震で冷却システムが止まり、1、3号機はいずれも格納容器の圧力が高まった。使用済み核燃料の貯蔵プールの温度が上がり、消防車などで必死に水をつぎだした。

 まさに氏の指摘どおりだ。一体、このマークⅠとはどんな原子炉なのか。

 「マークⅠが欠陥を抱えているとの米国での指摘は当時から知られていました。格納容器全体の容積が小さいため、炉心部を冷却できなくなって、圧力容器内の蒸気が格納容器に抜けると格納容器がすぐに蒸気でパンパンになってしまう。最悪の場合は格納容器が破裂してしまう心配がありました」

 こう説明するのは68年から77年まで日立製作所の関連会社「バブコック日立」に勤務し、福島第一原発4号機の圧力容器などの設計に関わった田中三彦氏だ。圧力抑制プールを含めたマークⅠの格納容器の容量は、新型のマークⅢの4分の1程度しかない。

 「今回、津波による電源喪失などで炉心冷却システムがすべて動かなくなったことで、格納容器が破裂しそうになりました。1号機の格納容器が8気圧になったのがそれを物語っています。運転中の格納容器は中の気体が外へ出ないように1気圧よりもすこし低くしており、設計上も約4気圧までしか耐えられないので、ものすごく大変な事態でした」(田中氏)

 このため東京電力は、格納容器にある「ガス放出弁」を開けて、容器内の圧力を下げざるを得なくなった。そしてこの弁こそ、ブライデンボー氏が会社人生をかけてまで求めたマークⅠの安全対策の一つだった。

 「80年代後半、私の訴えの一部が認められ、圧力を逃すガス放出弁を取り付けることが義務づけられました」(ブライデンボー氏)

 ガス放出弁がなければ今回、早い段階で格納容器が爆発しただろう。

 しかし皮肉にも、このガス放出弁から出た放射性物質を含む蒸気のために、原発周辺の放射線濃度が上がり、作業員らが被曝している。さらに、炉内で発生した水素ガスも蒸気と一緒に出て、1号機と3号機で水素爆発を起こし、建屋を吹き飛ばした。

 マークⅠの欠点はこれだけではなかった。再び、田中氏が証言する。

 「圧力容器に付属する再循環ポンプは、重さが数十トンもあるのに支えが不安定で、大地震時に再循環系の配管が壊れないかがよく問題になってきました。もし壊れると、ここから冷却材が格納容器へ噴き出し、『冷却材喪失事故』という悪夢になってしまうからです」

 再循環ポンプは、原子炉内に発生する気泡を取り除くためのもの。最新型では圧力容器内にあるが、福島原発のような古い型では圧力容器の外にある。

 「格納容器の圧力の上がり方、水素爆発の起こり方などから推測すると、とくに1、3号機では今回、冷却材喪失事故が起きたように思えます」(田中氏)

 国はこれまで、格納容器の欠点にどれだけ向き合ってきたのだろうか?

 「ガス放出弁について当初は『そんなバカな。格納容器は放射性物質が外に漏れないようにするものだ』としばらく検討していました。設置されたのは90年代に入ってからでした」(同)

 そもそも、40年以上前に設計された原子炉を今も使っていること自体どうなのか。田中氏は言う。

 「日本の原発には法的な寿命がありません。設計者は耐用年数を40年としてきました。1号機は40年を過ぎていますが、日本は米国をまね、90年代に入って最長60年まで使えるとの見解を示しました」

 マークⅠのコンパクトな設計については、ロシアの専門家は、「安全性よりも経済性を優先した結果ではないか」と、指摘している。ブライデンボー氏もCNNのインタビューで、こう話す。

 「社員だった当時、上司にマークⅠの廃炉を嘆願すると、上司は『そんなことをしたら、わが社の原子炉部門だけでなく、会社自体がなくなってしまう』と聞き入れられなかった」

 被災から11日後の22日に、福島原発にはやっと電源が回復し、温度計が復活した。1号機の圧力容器の温度が設計限界の309度を超える400度だったことがわかり、東電はあわてて炉内への注水を増やすことにした。しかし、注水を増やすと、それによって発生する蒸気で圧力容器内の圧力が格納容器に抜けて、再び格納容器が爆発する危険が高まることになる。

 小さかった格納容器という欠陥が、今も福島原発を苦しめている。